キーワードは『下方シフト』。
新型コロナ禍では、世の中がこの先どう変化していくのか、漠然とした不安が募りますよね。そんな気持ちが、受験生にも表れはじめています。志望大学の設定です。従来多く見られた、目標を志望校とする設定とは違い、安全圏の大学を志望校とする傾向が増加しているのです。また、学習の遅れや感染拡大の心配から、進学先が早い段階で決まる学校推薦型選抜や総合型選抜での受験も拡がっています。
2016年度から、首都圏を中心とする都市部の大学への学生集中を是正するため、入学者数が入学定員を一定の基準で超過することのないように定員充足率の基準を厳しくした国の取り組みがありました。このため有名人気私立大などは、合格者をぐっと絞ることに。早稲田大学や慶応義塾大学、上智大学、東京理科大学、MARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)、日東駒専(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)のほとんどが志願者を減らしました。その余波は、浪人を避けたい受験生が、安全圏の大学に集中することにつながっていったのです。それと今年から始まった大学入学共通テスト。当初は、「英語民間試験」と「記述式問題」の導入が入試改革の目玉とされていましたが、急きょ見送られるなど、大学受験に混乱を招きました。さらに新型コロナが重なったことで、受験生や保護者の方に対して、最善策として安全志向へと向かわせていったと考えられます。
それでも受験生には、こんな時代だからこそ、受かりやすい大学や学部へと安易に変更することなく、本当に望んでいる大学の合格を目指して、強い気持ちで努力を続けてほしいと願っています。